2020年5月2週振り返り(二極化する世界)


おはようございます!週間ではダウ平均が2.56%高、S&P500が3.50%高、ナスダック総合が6.00%高とそろって3週ぶりに反発しています。米国市場は特に大型ハイテク株が強い傾向が続いています。GAFAMの時価総額合計は東証一部の時価総額を上回りました。

今週も相場は明確な方向感を持ちませんでした。しかしはっきりしない相場の中でも刻々と重要な材料が出ています。まずポジティブな材料は、なんといってもギリアドのレムデシビルが承認された事でしょう。コロナウィルスに対する明確な治療薬が出たことは希望となります。

次にワクチン、ファイザーとドイツのバイオテクノロジー企業ビオンテックが開発したワクチンの臨床試験が始まりました。またモデルナは7日、初夏までにワクチン候補の第3相臨床試験を開始できる見通しを発表しました。ワクチンの目途がつき始めたことも、以前のパニックのような相場に戻らないことを示唆しています。

ネガティブな材料、3点あります。1点目は米中関係の対立。トランプ大統領は米国でのコロナウィルス対策の初動の遅さの批判をかわすために中国への態度を硬化しています。関税引き上げを言及。さらに損害賠償の請求も検討。第2段階の合意が遅れる可能性が高いです。

金曜日、中国の劉鶴副首相はライトハイザー米通商代表部代表やムニューシン米財務長官と、貿易交渉を巡る米中の「第1段階の合意」について電話で協議した事が伝わると、米中の対立先鋭化への警戒が若干緩みましたが、依然として対立は収まったとは言えません。

2点目は、ユーロ圏についてです。欧州委員会が、EUは過去最悪の深刻な景気低迷に見舞われており、この危機をうまく乗り切ることができなければユーロ圏はその未来さえ危ぶまれると発言しています。特に南北格差が顕著になっていることが懸念材料です。

今回の危機以前から債務水準が域内平均よりもすでに高かったギリシャやイタリア、スペインは、今年のGDPが9%余り縮小すると予測。一方、ドイツやオランダは7%未満の減少が見込まれています。域内共通の何らかの救済策がなければ域内にゆがみが生じ、ユーロ圏そのものの安定を脅かしかねないと欧州委は指摘しました。

3点目は、新興国です。特にアジアを除く地域です。まずブラジル。フィッチは5日、ブラジルの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げました。格付けに関しては投機的等級の「BBマイナス」で据え置いています。また、ブラジルのボルソナロ大統領とゲジス経済相は7日、国内経済は崩壊の危機にあるとの警戒感を示しました。

フィッチはブラジル経済が今年4%のマイナス成長に陥ると予想し、リスクは依然下向きとしています。また、財政状況の急速な悪化や政治リスクの高まりを指摘し、2020年の財政赤字はGDP比13%に拡大すると予想しています。

フィッチは「ブラジルは、バランスシートが比較的弱く経済成長も低迷した状態で現在のストレス局面に入った」とし、「新型コロナウイルスのパンデミックやそれに伴うリセッションを受けて公的債務がさらに膨らみ、財政の柔軟性が損なわれるとともに衝撃に対する脆弱性が高まる」と警鐘を鳴らしています。

次にトルコ。トルコはコロナ危機に見舞われる前から、インフレ高進や成長低迷により経済がぜい弱な状況にありました。そこにコロナが中核産業の観光業を直撃したのです。トルコの中央銀行はトルコリラ買いの為替介入を行っていますが、介入資金が枯渇し始めているという懸念で、リラの下落は止まりません。

つまり二極化が起こっているという言ことです。弱いところ(新興国)は売られ、強いところ(ナスダック)は買われています。同じようにユーロ圏でもドイツとギリシャ、イタリア、スペインなどとの格差が生まれています。この歪みがどのように世界経済に影響していくか、それがこれからのテーマだと私は思っています。

今週もお疲れ様でした。GWもあまり外出できず、引きこもりの私でさえそろそろ外食したいと思っています。止まない雨はありません。その時まで暫く美味しいものはとっておきたいと考えています。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。


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