2020年12月2週振り返り(FOMCとブレグジット)


おはようございます!週間ではダウ平均が0.57%安、S&P500が0.96%安とともに3週ぶりに反落し、ナスダック総合は0.69%安と4週ぶりの反落となりました。

12月16日FOMCがあります。そこでは政策金利の発表とFRBの今後のスタンスが示されます。私は次回FOMCは何もないと考えています。その理由は株価と金利が安定的だからです。具体的にダウが30000ドルを上回り、米国10年国債利回りが1%以下の水準だという事です。これはFRBにとって心地よい水準だと考えています。

つまり、追加緩和の必然性がないという事です。ここで考えられるFRBの次の手段を示します。まずYCC(イールドカーブコントロール)ですが、副作用も多く現状の金利水準では行われないでしょう。次にフォワードガイダンスの強化、すでに2023年末までFFレートを現行の最低水準に収めると言っています。

つまり、これ以上年限を長くしても意味はないでしょう。債券購入量の増大、これも長期金利が1%を超えていない水準で、必然性がありません。デュレーションの長期化、これも特にイールドカーブが立っていない今の状況では現実的ではありません。つまり、FRBは何もすることがないのです。強いて言えば、財政政策の要求です。

ウェイトレスさんが泣いています。彼女は時給で働いています。しかし店が閉まってしまい、給料が無くなりました。このウェイトレスさんを救うには、金融政策では無理なのです。財政政策でお金を直接彼女に渡さなければなりません。お店もそうです。潰れる前に輸血しないと、潰れてからでは遅いのです。繰り返します、今必要なのは財政政策なのです。

ブレグジット、問題はシンプルです。関税の問題です。FTA交渉が妥結されなければ、合意なき離脱になります。その場合英欧間で関税がWTOルールとなります。それは社会・経済両面で混乱をもたらすことになります。社会的には税関の混乱により流通が滞る可能性があります。もう少し言うと食料品が欠如する可能性です。

次に経済面では、輸出業社が関税により輸出競争力が無くなり衰退するという事です。それは株価、為替、に影響するでしょう。もしかしたらポンドの急落が起こり、BOEが通貨の防衛の為、利上げさえしなければいけない状況になるかもしれません。それが起こるか私には分かりません。しかし事態をだれも予測出来ていないことは確かです。

英欧間では3つの点で隔たりがあります。①漁業権②公正な競争③制裁のルール、です。①は複雑に絡み合っています。まず英国経済に占める漁業の割合は1%以下です。つまりどうなろうと経済的にはあまり影響はありません。現在移行期間の元、英国海域でフランスやオランダは漁業を行っています。その規制の強化はフランス、オランダの漁師にとっては致命的になります。

一方ボリスジョンソン首相の支持団体が漁師ということにより、漁業権はEU離脱の象徴にもなっています。つまりどちらも譲れないのです。②の公正な競争は、EUにフリーアクセスを望むなら、英国に対し企業に補助金等を出す事に規制を掛けるという事です。例えば英国は自動車工場誘致に補助金を使っています。

しかし、そのことにより、ドイツのメーカーが価格競争面で不利になる可能性があります。その為のルールですが、EUにとっては至極当然の理論かもしれません。しかし英国にとってはEUの干渉が問題になってくるという事です。③の制裁ルールは、英国にそのような問題が起こった場合EUが制裁を行う際のルールですが、これも英国が自国の権利を主張しています。

①②③と説明しましたが、つまるところ、FTA交渉は平行線なのです。それが少なくともこのままだと、1月1日には合意なき離脱となる訳で、予断は許されない状況です。この週末にも決着が出る可能性もあり、引き続き注目していきたいと思います。

今週もお疲れ様でした。今週はサロンのオフ会がありました。オフ会ならではの話も出てとても楽しかったです。来週も宜しくお願いします。良い週末をお過ごしください。


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