2025年8月3週振り返り(富の再分配)


おはようございます!週間ではダウ平均が770.51ドル高(+1.74%)、S&P500が0.94%高、ナスダック総合が0.81%高と主要3指数がそろって2週続伸しました。

注目の7月コアCPIは前年同月比3.1%と予想3.0%前回2.9%を上回りました。ただ想定以上にはインフレは進んでいないとの解釈によりS&P500は史上最高値を更新しています。一方7月コアPPIは前年同月比3.7%と予想2.9%前回2.6%を大幅に上回っています。この解釈は二つあり、一つはトランプ大統領の圧力によって関税の影響が企業内にとどまっている事です。

もう一つは雇用統計が示す通り景気は減速しており、消費が低迷し価格上昇圧力を家計が吸収できないでいるという事です。この二つとも可能性は高く、いずれにせよPPI上昇に伴うCPIの上昇圧力はあまりないと言えるでしょう。懸念材料は価格転嫁が進まず企業業績が悪化する事ですが、そもそも製造業の比率が少ない米国では株価的にはあまり意味がないと考えています。

また高いPPIを受けても9月FOMCでの利下げ可能性は90%を超えており、利下げは既定路線と考えています。ただベッセント財務長官が示した50bpsの利下げも現実的ではなく、利下げ幅は25bpsに留まるでしょう。つまりマーケットは利下げを織り込み、下がりにくい状況だと言えます。今後も私は相場は緩やかな上昇が続くと想定しています。

さて、トランプ大統領はNVDAとAMDに対し中国輸出売上高の15%を徴収する事を決定しました。またINTCに対しては政府出資を提示しています。まずNVDAとAMDの件に関しては利益が上がっている企業からの徴収を意味し、次にINTCの件に対してはその富の再分配を意味しています。狙いは製造業の国内回帰ですが、そのやり方がまるで社会主義に見えます。

もう少し言うと、富の分配の仕方が中国そのものなのです。中国の習近平国家首席はIT企業に対して規制等で絞り、製造業を伸ばしてきました。アリババの金融子会社アント上場を禁止した事は記憶に懐かしいです。そして中国政府に不満を表し警告されたジャック・マー氏は最近表舞台に出てきません。何を言いたいかと言うと、トランプ大統領も同じことをしようとしているのです。

自国の製造業回帰の為にINTCに出資し、自分に反対する人間を徹底的に排除する。その意思決定は社会主義のトップ以外何物でもないと思います。不思議なのがそれが自由民主主義の象徴の米国で行われている事です。行き過ぎたポピュリズムがトランプ大統領を再選させ、そのトランプ大統領がまるで社会主義国の独裁者のような振る舞いをしています。

三権分立もFRBの独立性もほぼ無視している状況が本当に正しい状況なのかは疑問に残る訳です。前提として私はトランプ大統領自体を責めている訳ではありません。それを許してしまった米国の制度設計に疑問を感じているのです。いずれにせよ制度以上の富の再分配が行われようとしています。そしてそれが民主主義の根幹を揺るがしていると言えるでしょう。

今週もお疲れさまでした。今週は少しトラブルもありましたが、のんびり過ごせたと思います。此れを書き終わりまたスナックに行こうかと。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。