2025年6月3週振り返り(弱気継続)


おはようございます!週間ではS&P500が0.15%安と小幅に2週続落した一方、ダウ平均が9.03ドル高(+0.02%)とほぼ横ばいとなり、ナスダック総合は0.21%高と反発しました。

今週は多くの事がありました。まずトップトピックはやはり中東情勢です。色々ありますが結局トランプ大統領が言った通り2週間以内に米軍の参戦を決めるという事に尽きます。まず戦況はイスラエルが想定以上に圧倒的でした。イランは対抗能力がほとんどないと言えるでしょう。しかしながらイランには窮鼠猫を嚙むという諺もありますし、例えばホルムズ海峡閉鎖、最悪の場合は核兵器使用など、不安要素があります。

米軍の参戦する意味はバンカーバスターと言って地下80mにあると言う核施設を破壊できる武器を使用するかどうかという事です。そもそもイスラエルが何を怯えているかと言うと、イランが核兵器を持つことです。何故ならイスラエルは唯一のユダヤ国家であり核兵器一発でその存続が危ぶまれるからです。だからイスラエルはイランが核兵器を持つことを許容できません。

ただイラン側に立って見れば核兵器さえ持てれば北朝鮮のように振る舞う事が出来る為、ウラン濃縮の制限はなかなか受け入れる事が出来ません。米国との交渉はウラン濃縮についてがポイントですが、イラン側に立てば停止は受け入れがたいし、米国やイスラエル側に立てば停止させないと納得いかないと言った、最早どうしようもない対立が生まれています。

2週間以内に何らかの決着がなされるとトランプ大統領が言っていますが、今の所米軍の参戦の可能性が高いように思われます。ただし米国内の世論は反戦であり、結局その時になってみないと分からないと言うのが正直なところです。いずれにせよ軍事力で考えれば米国・イスラエル側が圧倒的であり、イランは国として存続できるかと言う危機にあるように感じます。

次にFOMCですが予想通りFF金利を4.25%に据え置き、ドットプロットはほぼ変更なく年2回の利下げを示唆しました。パウエル議長のデータ重視の姿勢は崩れませんし、関税の影響が確認できるまでは動かないと言うのが本筋でしょう。印象的な言葉は『今後数ヶ月で相当なインフレが到来すると予想している』であり相当関税を警戒しているという事が理解できます。

インフレに関しては解釈は難しいですが、少なくともインフレ率はインフレターゲットの2.0%を上回っており積極的に利下げできる状況ではないように思えます。結果景気後退が現れるとしたらその時利下げすると言うスタンスで問題ないと私は考えます。FRBのデュアルマンデートは雇用の最大化だけではありませんし、そもそも失業率は4.2%と完全雇用を示しています。

次に日本の金利です。30年債利回りが2.9%と超長期ゾーンを中心に高止まりしています。日銀はテーパリングを来年減額する事を決めました。更に発行側の財務相も超長期債の発行を減額することを決めています。あまり話題に上っていませんが、相当厳しいんだと思います。デュレーションの短期化は根本的な解決策ではありません。これ以上超長期ゾーンが跳ねると地銀等が強制評価減をせざるを得なくなります。

また日本のCPIが発表されました。前年同月比3.5%です。物事を単純化させると今公定歩合は0.5%です。短期でお金を0.5%で借り続ける事が出来ればキューピーマヨネーズを持っておけば来年差額の3%儲ける事が出来ます。此れは明らかに緩和的です。緩和が招く結論は更なるインフレと円安に帰結するでしょう。日銀が使う基調的インフレ率の意味も分かりませんし、単純に利上げしないとインフレが加速します。

最後に総合的な相場の判断ですが、弱気を継続します。6月1週振り返りではピーク感と表しここからは株価は上昇しにくいと言及しました。その時S&P500は6000ポイントでした。弱気継続の理由はいくつかありますが、先ずは米国長期金利が4.4%程度と高止まりしています。経済指標は悪化しています。そして地政学リスクが高まり、原油上昇によりインフレの可能性が上がっています。

株価の急落が来るかどうかは私には予見できませんが、少なくともチャート上では上昇トレンドと言い難い状況です。上昇トレンドとは長く緩やかに在ります。今はその状況ではないので、安心して弱気のポートフォリオを継続できます。何時も言及していますが、個人的に思うのがボラが高まるならばポジションは小さくした方が良く、また上昇相場に転換するのを待つのがベストだと考えます。