おはようございます!週間ではダウ平均が2.66%安、S&P500が1.50%安、ナスダック総合が2.62%安とそろって反落しました。
パウエル議長は正当な発言をしました。関税によるインフレ再燃を懸念し、利下げには慎重なスタンスを示すと。そしてトランプ大統領はパウエル議長の解任をほのめかしました。2018年も同じようなことが起こりました。しかし今回はトランプ劇場では済まされません。そもそも米国では中銀の独立性が確保されています。それは政府に左右されない金融政策の担保の為です。
なぜそのようなことが必要かというと、中銀が政府の言いなりになるとすれば、必ず景気に親和的にするよう指示するからです。景気に親和的とは金融政策で考えると緩和的と表現できます。トランプ大統領は利下げにより景気浮揚を要求しています。しかし間違いなくそれは間違っています。何故なら簡単です、インフレ率が2%を上回っているからです。
更に一連の関税政策によりインフレ率が上昇することは確定しています。米国の中銀の2大命題は、雇用の最大化とインフレの安定です。インフレが上昇している間に利下げなどもってのほかなのです。それはこれを読んでいるほとんどの人が理解しているでしょう。しかしトランプ大統領は意味不明な発言を繰り返しています。正直私の解釈だと狂っているとしか言いようがありません。
つまり中銀の独立性を無視した発言だけではなく、更に利下げやFRB議長の解任をほのめかしているのです。パウエル議長は誠実です。彼はインフレを一時的と見誤って以来、その事実を反省し、更に的確に金融政策を運営してきました。パウエル議長を市場は信任しています。そのパウエル議長を解任するとなればマーケットは大荒れになるでしょう。
私がパウエル議長だったら絶対利下げしません、解任されてもです。自身の恥でもあるし、FRBが政府の言いなりになった事実はFRB自体の汚点になるからです。いずれにせよ関税政策の発表以来、トランプ大統領の意見は全く整合性が取れず、マーケットは疑心暗鬼になっています。関税によるグローバリズムの否定は勿論の事、それによる地政学リスクの高まり、何をしたいのか分かりません。
それに加え、前述の通りパウエル議長の解任をほのめかす報道が重なり、マーケットは呆れています。つまり無視し始めました。ボラは低下しています。しかし良い兆候ではありません。あまりの出来事が繰り返され、マーケットは鈍感になっているのです。しかしその影響はいずれ間逃れないでしょう。だから株価は元に戻らないのです。
トランプ大統領が何を黄金時代と定義しているのかは定かではありませんが、一番のリスクはマーケットではありません。地政学リスクの高まり、米中の緊張化から、台湾有事と繋がる可能性です。それは我々にとっても対岸の火事ではありません。台湾の次は、尖閣諸島、沖縄と続く可能性があるのです。未だ選挙対策のためのバラマキの有無で揉めている日本政府に憤りを感じます。
今週もお疲れさまでした。今週はプライベートで色々と進展があった週でした。やはり人との出会い、対話は貴重ですね。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。