2025年4月23日振り返り(トランプ大統領の傀儡化)


本日民主主義の自浄作用が働いた日でした。前日キーパーソンのベッセント財務長官が非公式に中国との対話路線を開くと発言、そして本日トランプ大統領がパウエル議長の解任を否定しました。此れは大きなターニングポイントとなります。それはマーケットのプレッシャーにトランプ大統領が屈したと言えるでしょう。いずれにせよマーケットは安定化に向かいます。

想定できる未来はトランプ大統領の傀儡化です。つまり顔としてのトランプ大統領は継続しますが、実権はベッセント財務長官を中心に倫理観を伴った政治が実行されることとなるでしょう。つまりトランプ大統領は自ら首を絞めて実権の放棄を宣言したのです。それはパウエル議長の解任が実行できなかったことに起因します。ただその傷跡は深いものでした。

つまり相互関税によって最低10%の関税が賦課されることは決定事項であり、それは米国のインフレを助長するだけではなく、世界的な不況を起こします。米国に限って言うとスタグフレーションは実現されるでしょう。何故ならFRBは利下げ出来なくなるからです。それでもマーケットはパウエル議長を信任しました。インフレの痛みはまだ癒えていないという事が分かります。

相場見通しとしては少し強めても良いかもしれませんが、結局スタグフレーションが訪れるので様子見を継続します。関税の影響で景況感が悪化してくるのはこれからです。米国の信認も地に堕ちてしまいました。此れから各国が連携して国際社会を再構築していくでしょう。しかしながら中国は虎視眈々と台湾を狙っていくでしょう。100年に1度の西側の綻びを彼は見逃しません。

結局誰が得したか、それは中国なのです。トランプ大統領が中国を支援したと言えます。此れが彼の計算ならばかなりの天才と言えますが、決してそうではないでしょう。彼の見栄、虚栄、それが彼を傀儡への道へ走らせたのです。繰り返しますがトランプ大統領の実権は放棄されました。後はベッセント財務長官に任せましょう。彼なら上手くやってくれます。

総括としては暴走したポピュリズムの終焉と言って過言ではありません。任期が終わる前に実権を奪われたトランプ大統領はポピュリズムの象徴でした。しかしそれは行き過ぎたのです。ポピュリズムがいつの間にか自己の権威そのものになり、破綻したのです。冒頭に述べた通り民主主義の自浄作用が働いたと言えるでしょう。それは私が想定していた以上に早いです。

以前の振り返りで結局トランプ大統領は折れると私は言いました。それが達成された今世界は良い方向に向かいます。ただし一度崩壊した米国への信認は戻りません。中国は虎視眈々と台湾を狙い、中東もその混乱に乗じて勢いを増します。ロシアもウクライナを放棄しないでしょう。群雄割拠の時代が訪れたのです。そのきっかけがトランプ大統領とは皮肉なものですね。