おはようございます!週間ではダウ平均が1.24%安、S&P500が2.08%安、ナスダック総合が3.15%安で終了。週明け11日は主要3指数がそろって史上最高値を更新したが、そろって大幅反落して週の取引を終えました。
10月CPIは前年同月比2.6%と予想2.6%と一致も前回2.4%を上回りました。またコアも前年同月比3.3%と予想3.3%前回3.3%と一致しています。コンセンサス通りとはいえインフレ鈍化のペースは逓減している事が分かります。FRBの命題は雇用の最大化とインフレの安定です。その二つの命題が達成される可能性、つまりインフレが低減しつつ雇用が悪化しないというシナリオをマーケットは見ています。所謂ソフトランディングです。
ただ、私はどうしてもその可能性が思ったよりも低いように思えます。トランプ次期政権が財政拡大や関税強化をすれば、当然インフレ率は高まります。景気は浮揚する、つまり雇用は悪化しないのでしょうが、インフレが問題になってきます。その場合FRBの利下げのペースは鈍化するでしょう。中立金利が上昇して、金利が高止まりすると言えば聞こえがいいのですが、本当に利下げのペースが遅れた場合、経済が耐えられるかは疑問です。
S&P500のPERは25倍で、楽観的シナリオを全て織り込んだ水準のように思えます。つまりパンパンに膨らんだ風船のように私には見えます。針が刺さって弾ける可能性は低くないのです。その針について考えてみます。私が一番懸念しているのが、デカップリングについてです。中国は構造的な問題を抱えています。多少の財政出動では解決できるとは思えません。経済的に成長するには構造改革が必要です。習近平政権はそれを嫌います。
割れたグラスに水を灌ぐように財政を出動しても、その効果には疑問が残るという事です。それを見て中国の株価指数は一時期の高騰からは姿を消し低迷し始めました。香港ハンセン指数は2万ポイントを下回っています。欧州経済も低迷しています。ドイツPMIは好不調の境目50を継続的に下回っています。特に製造業の不調は顕著です。中国への輸出が低迷しているのも要因ですが、やはり構造的な問題を抱えています。
欧州はエネルギーコストが高く産業が空洞化しています。フォルクスワーゲンが域内工場を閉鎖し人員削減を発表したのもその要因が大きいです。経済の低迷に加え、欧州では政治の混乱も起きています。ドイツの連立政権は崩壊し、フランスでも混乱が続き、ポピュリズムが台頭しています。移民政策や経済政策への不満が其処へ向かっていると言えるでしょう。欧州の株価も堅調とは言えません、DAXは19000ポイント辺りをフラフラしています。
そして日本も良い状況ではありません。今週発表された7‐9期GDPも前期比0.2%とほぼ成長していない状況です。そして政治的にも混迷期に入りました。政治とカネの問題は尾を引いていますが、それ以上に経済的に成長していない、所得が上がらないという構造的問題に国民の不満が出ています。日経平均も39000円前後とここ最近はあまり良い状態ではありません。
つまり何が言いたいかというと、中国、欧州、日本、が低迷しているのに米国だけが成長し続けることが可能なのかという疑問です。その査証に素材価格が低迷しています。銅、原油、本来景気が良ければ上昇する素材が下落基調なのです。それは炭鉱のカナリアなのかもしれません。私はそれを懸念しています。また米景気浮揚による長期金利の上昇も懸念事項です。現在長期金利は4.5%程度です。
また所謂タームプレミアムが財政悪化により上昇しているのも要因です。いずれにせよこれ以上長期金利、つまりリスクフリーレートが上昇すればS&P500のPER25倍が否定される可能性が高いと考えています。つまり金利に株価が耐えられなくなるという事です。全てがうまく行くシナリオを織り込んでいる株価が、弾けるかどうかは分かりませんが、此処から買い進めたいとは思えません。
今週もお疲れさまでした。初めてのレコーディングが終わりました。何より楽しみました。また半年後に新しい曲をレコーディングしたいと思います。暫くは曲を仕上げていきたいと思います。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。