2018年8月20日 相場見通し(トルコ問題と米中貿易戦争について)

   

相場とは様々な要因が絡み合って価格に現れています。現状を把握することによって今後の見通しを立ててみたいと思います。まず相場の懸念材料としては、トルコ問題、米中貿易戦争の2点が挙げられます。その2点から考察を始めます。

トルコ問題

まずトルコ問題について考察していきたいと思います。現在米国とトルコの関係は良好とは言えません。ではどのような経緯でこのような関係になったかは、シリアの内戦について考える必要があると思います。

もともとシリアの内戦では、米国とトルコはどちらもアサド政権の反体制派を支援する立場をとっていました。逆にロシア、イランはアサド政権を支援する立場を取り、まるでベトナムのような代理戦争の形をとっていました。その後ISという共通の敵が現れどちらの勢力もまずIS掃討を目指しました。米国とトルコの関係が悪くなったのはIS掃討後でした。

IS掃討後、反体制派を支援する米国はシリアの北東、トルコと面する地域のクルド人地区に武器等の支援をしました。隣接するトルコはトルコ内のクルド人地区に武器が密輸されることを警戒しました。そして、トルコはシリアのクルド人地区に攻め込んだのです。これは米国との対立を生みました。そして、トルコは米国より、ロシア、イラン側と親しくなるようになったのです。もともとトルコはロシアから原油を輸入し、また食料品をロシアに輸出していて経済的に親しい関係です。ただ軍事的にはNATO加盟国であり複雑な立場をとるようになったのです。

その後、トルコはエルドアン大統領の独裁傾向が強まりました。米国という敵をわかりやすく国民に訴えることにより独裁政治をより強固なものにさせてます。国民の支持を仰ぐために、通貨が売られてもインフレが高まっても利上げを後に回したため、そのツケが回ってきています。つまり、トルコの問題は極めてイデオロギー的な政治的な問題という事なのです。独裁色を強めたいエルドアン大統領は、ロシア、イラン、カタールにより近い立場になって行くでしょう。米国との対立がすぐ解消するとは思えません。

この国際政治の部分でトルコ問題は他の新興国の経済問題とは根本的に違い、解決しにくい問題になっています。ただ、この問題は逆に言えばトルコ固有の問題であって、他の新興国に波及する問題ではないと考えています。つまり、この問題自体が世界景気に致命的な悪影響を及ぼすとは考えていません。

米中貿易戦争

次に米中貿易戦争について、考えてみようと思います。米国から追加関税の報道を受けて中国のマーケットは売られています。中国は7月にそれまでのバブル抑制政策を緩和的に変えると発表しています。それなのに、中国の株価は1年7か月ぶりの安値水準まで落ちています。つまり、マーケットは米国からのプレッシャーの影響が大きいと考えているのです。

ただし、あまり中国にプレッシャーを与えすぎると米国経済にも影響してきます。ポジティブなニュースとして米中通商会談が再開されるという報道があり、8月22日23日次官レベルでの会談が米国で行われる予定です。この米中通商会談の行方がどのようになるかは定かではありませんが、私は少し楽観的に見ています。

それはトランプ大統領は極めてマーケットを注視していると考えるからです。11月の中間選挙に勝つためには景気が良くなければいけません。中国株が売られつられて米国株も売られるパターンはトランプ大統領の意図しているところではないでしょう。ただし、中国に関税をかけることも国内票を得る有効な手段であると思います。その辺のバランスを取りながら中国との対話をしていくと思うので、米中貿易戦争によりマーケット全体が急落するリスクは少ないと考えています。

バリエーション

日経平均株価のPERは13倍です。これは5年平均15倍よりもかなり低い数字です。15倍に回帰すると仮定すると、2つのパターンがあり、①EPSが切り下がりバリエーションが上がる、②株価が上がりバリエーションが上がる、となります。①は景気後退により企業利益が予想を下回るという事で、今マーケットはこのシナリオを懸念しているのだと考えています。しかし、トルコ問題は固有の問題であり、極めて政治的な問題ですぐ解決するようなものではありませんが、他の新興国に波及するとは今のところ考えていません。また、米中貿易戦争についてもマーケットが急落するリスクは少ないと考えています。とすると、今のところ②の株価が上がりバリエーションが上がるというシナリオを考えています。

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