2018年8月2日 日米中央銀行の政策決定後の市場の反応について

   

日米の政策決定が発表されました。日銀の政策決定会合は7月30日、7月31日、米国FOMCは7月31日、8月1日、に行われました。ここで、特に日銀サイドで大きな動きがあったのでピックアップしようと思います。

以下ロイターから『日本銀行は31日の金融政策決定会合で、長短金利水準を据え置いた上で、長期金利目標について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」ことを賛成7、反対2で決定した。黒田東彦総裁は記者会見で、長期金利の変動幅について、これまでのプラスマイナス0.1%から「その倍程度に変動しうることを念頭に置いている」と説明。「金利水準の引き上げの意図はまったくない」とし、金利が急上昇する場合には国債買い入れを実施すると語った。』

問題はこの解釈です。今市場は変動幅が倍になったという認識のもと、金利の上限を試しに行っています。0.1%が上限だった金利を0.2%とすることで10年国債が売られています。(金利が上がるという事は、債券が売られるという事です。)下記チャート10年国債利回りが0.1%を超え急騰しています。

日本10年国債利回り(20営業日日足)

1年で見ても、0.1%を超えたことはありませんでしたが、0.1%を超え急騰しています。これがどういう事かという事ですが、まず債券価格の下落により、保有する債券が含み損になるといことです。次に債券の利回りが改善したことにより、債券の長期でのパフォーマンスが上がるという事です。という事は、銀行株、保険株にはプラスになるという事が考えられます。

ただし、日銀は金利水準を変えないとガイダンスをしています。つまり、これは市場が過剰反応しているという可能性が大きいです。いずれは日銀の指値オペによって、金利は適正な水準に戻されていくと考えています。

日本10年国債利回り(1年足)

FOMC後の米国債利回りは、心理的節目の3%を超えました。これは9月と12月にFF金利を引き上げるというアナウンスが変わらなかったためです。基本的には米国経済は堅調で、8月3日に発表予定の米国雇用統計も良い数字が予想されています。FOMC自体にはサプライズはありませんでした。そのことが、米国長期金利を押し上げる結果になっていると思われます。

米国10年国債利回り(1年足)

最後に日米両国の金融政策発表後の為替の推移について言及したいと思います。もちろん、米中貿易戦争等雑音はありますが、基本は米国の堅調な経済にって円安に傾いています。最近113円をつけて押し返されていますが、また円安方向に振れ始めました。その理由は日米金利差も大きなところとなっています。基本金利が高くなっていく国ほど、為替は買われます。FOMC後の金利の推移が米国のほうが上がっています。また日本の金利は上限が決まっているようなものです。相対的に考えて、米国の金利が上昇しているため、為替が円安方向に振れていると考えていいと思います。

次に注目するイベントは、前述の通り8月3日に発表される、米国雇用統計です。とくに賃金の上昇が確認されれば、堅調な米国経済が確認でき、さらに円安方向に振れていくと考えています。

ドル円1年チャート(為替)

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