機関投資家の仮想通貨参入について

   

 

私は仮想通貨の専門家ではありません。ただ機関投資家ビジネスに関わっていた者として、少しこれからの仮想通貨の資金の流れを書き留めておこうと思います。

大前提として、皆さんが思っているいる以上に機関投資家はお堅いビジネスをしています。顧客資産の保全、分別管理、運用方針、規約によって守られています。

機関投資家と言っても、投信、投資顧問、信託、生保、損保、ヘッジファンド、いろいろな種類があります。

まず投信とは投資信託を扱っている会社で、裏の資金の出し手は基本的に個人です。特定の資金の出し手のための私募投信というものもありますが、基本的には個人投資家から資金を募って、集めて投資する、そういうものです。そこには定款というものがあって、一つ一つの投資信託に対して、どういう投資対象にどういう割合で投資するかまで詳細に書かれています。それを破ると規約違反になりますし、基本的にはそういったことはしないと考えて大丈夫です。

投信が仮想通貨に参入するとしたら、まずETFと言う上場投資信託が考えられます。つまり、既存の投信ではなく、新規に仮想通貨に投資する投資信託を設定するという事だと思いますが、現時点でその可能性は極めて低いです。なぜなら、仮想通貨というものが法的に、コモディティなのか有価証券なのか、どこの機関が規制するのか、全く整備されていないからです。

初めに、機関投資家ビジネスはお堅いビジネスだと述べました。機関投資家は儲かるからといってなんでも投資する者ではないのです、機関投資家には必ず裏の資金の出し手がいます。そこが納得するかどうかが問題なのです。

投資顧問、信託、は年金資金を扱っています。投資一任勘定といって投信よりは裏の資金の出し手がプロなのでヘッジファンド投資等もしているところが多いです。伝統的な資産以外の投資をする事をオルタナティブ投資と言います。一言にヘッジファンドといっても、CTA、グローバルマクロ、ロングショート、いろいろあります。ただ一つ言えることは、そのパフォーマンスが伝統的な資産との相関が低いという事が特徴です。

この、伝統的な資産とは主に、株式、債券、ですが、それとはまったく違う動きをすることが、機関投資家にとっては重要なのです。その点では、仮想通貨も魅力的な投資対象に入ってくると思います。ただ、前述のとおり、法的な整備が行われないと、裏の資金の出し手に説明できません。なので、年金資金に関してもすぐには仮想通貨を投資対象とする動きにはならないでしょう。

生損保も同じですが多少年金よりは動きやすいかもしれません。自分が資金の出し手なので。生損保はオルタナティブ投資に積極的に参加しようとしています。ただし、やはり法的に仮想通貨がどのように定義されるまでは投資対象にならないと思います。

最後にヘッジファンド、ここは裏の資金の出し手が100人以下の私募なので、資金の出し手が納得すればすぐに仮想通貨に投資できます。また実際にしているところもすでにあると思います。ヘッジファンドといっても前述の通り、色々な種類があり、裏の資金の出し手も様々です。裏の資金の出し手が機関投資家でなければ、定款も変えやすいし、そういうヘッジファンドから仮想通貨投資が始まっていくんだと思います。

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