ブラジルの通貨と株価の同時安は深刻な状況になっていると考えます

   

ブラジルのボベスパ指数が2009年以来の安値をつけました。合わせて為替も対ドルで安値を更新しています。詳しくは、ブラジル株:ボベスパが続落、09年以来の安値-深刻な景気後退懸念で(ブルームバーグ)をご参照下さい。為替、株価の推移を確認した後、その影響を考えてみたいと思います。

ブラジル・レアルの対ドルでの推移

2014年始めの1ドル2.2レアル前後から、2016年末には1ドル4レアルへ倍近くレアル安になっています。

ドルレアルチャート

ドルレアル201601

Investing.comより

ブラジル株価指数の推移

2012年以降、下値を切り下げていっています。2016年1月4日に42141.04と、2009年以来の安値を付けました。

ブラジルボベスパ指数チャート

ブラジルボスペパ指数201601

Bloombergより

ブラジル実質GDPの推移と予測

ここで、ブラジルの実質GDPの推移と予測を見ると2015年、2016年はマイナス成長が見込まれていることがわかります。(IMFによる2015年10月時点の推計)

ブラジルGDPの推移予想

世界経済のネタ帳より

金融政策の推移

2013年3月の7.25%から2016年1月現在は14.25%と利上げが続いています。ブラジルは輸入物価高騰の影響等からインフレが続いています。しかしGDPが2015年、2016年ともにマイナス成長予定の中で、ブラジル中央銀行は利上げを行っています。景気低迷とインフレが同時に起こるスタグフレーションのなか、自国通貨の防衛のために金利を上げざる得ない状況に陥っています。

ブラジル政策金利

Investing.comより

ブラジルの輸出入国と品目

ブラジルの最大輸出国は中国で、最大輸出品目は鉄鉱石です。

ブラジル輸出入

世界経済のネタ帳より

鉄鉱石価格の推移

ブラジル最大輸出品目の鉄鉱石価格は、2011年2月の187.18をピークとして2016年11月には46.15と4分の1程度に下落しています。とくに2014年以降の下落のペースが顕著です。主に中国の需要停滞が原因です。

鉄鉱石価格推移201601

世界経済のネタ帳より

政局不安

昨年は国営石油会社ペトロブラスを舞台とした汚職が拡大しました。政局が不安定なことにより、財政政策が麻痺状態に陥っている模様です。

まとめ

ブラジルはネガティブなスパイラルに陥っています。最大の輸出国である中国の景気低迷と汚職事件を発端とする政治の停滞が、株価と通貨を押し下げ、さらにスタグフレーションが起こっています。また、ブラジルの企業は、10%~30%を外貨建てで資金を調達していて、そのほとんどが低金利のドル建てで調達されています。為替がレアル安に動くと、外貨建てで調達した負債に、為替損が発生します。さらに通貨安が進むと、マクロ面でもミクロ面でも影響は大きいと考えられます。

結論としては、まだ、通貨危機等、実体経済に深刻な影響を与えてはいませんが、ロシアと同様に、注意深く見る必要があると思います。ロシアに関しては、ロシア・ルーブル安はロシアにとって悪影響が大きいと考えますをご参照下さい。

MSCIエマージング・マーケット・インデックスのブラジルの構成割合は8%程度ですが、新興国投資信託に投資する際はブラジルの影響も考慮して投資判断をしましょう。

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