2023年12月2週振り返り(押し目待ちに押し目なし)


おはようございます!週間ではナスダック総合が0.69%高、S&P500が0.21%高となり、ダウ平均も0.01%高とわずかながらプラス圏で終了、3指数がそろって6週続伸を記録しました。S&P500は先週金曜日に終値での年初来高値を更新しましたが、この日は日中高値でも年初来高値を更新し、2022年3月以来の水準まで上昇しています。

注目の11月雇用統計、失業率は3.7%と予想3.9%前回3.9%より低下し、強い雇用が示されました。マーケットは利下げ時期が伸びるとの思惑から、一瞬株売りで反応しましたが、すぐ戻しています。またその後発表されたミシガン大学1年先期待インフレ率が3.1%と予想4.3%前回4.5%を大幅に下回りS&P500は4600ポイントを上抜けました。ここ最近の株価は正に押し目待ちに押し目なしと言った様相を呈しています。

FRBのデュアルマンデートは雇用の最大化とインフレの安定です。其れは一般的には相反する命題だと考えられています。つまり雇用が最大化するような環境ではインフレは亢進するのです。しかし雇用とインフレの関係が今、乖離してきている可能性が高いです。つまり利上げによりインフレは低減しているにもかかわらず雇用は悪化しないという事です。考えられる要因は雇用にもインフレにもあります。

まず雇用が強い理由、10月JOLTS求人件数は873.3万件と予想930万件前回935.0万件を下回りましたが、依然高水準、つまり雇用機会が豊富にあることは確かです。その為企業側は通常より解雇を避けている可能性が高いです。企業側にとって再雇用が難しい状況だからです。それが利上げにより景況感が悪化しているにもかかわらず雇用だけが力強い要因と考えています。

次にインフレが順調に逓減している理由、コロナ禍でサプライチェーンの断絶により例えば車載半導体の供給不足が起こり自動車の価格が高騰しました。しかし今逆の事が起こっている可能性が高いです。つまりサプライチェーンが順調に回っている為に供給価格が低下しているのです。利下げは投資意欲の低下が起こり需要サイドを弱めますが、サプライチェーンの回復の話は供給サイドの話なのです。

また中国のデフレも大きいでしょう。中国は今不動産やシャドーバンキングに大きな問題を抱えています。平たく言うと不良債権問題です。そのような事態では消費意欲は低下します。だからいま中国ではデフレが起きています。中国はデカップリングが進んでいるとはいえ未だ世界の工場です。その世界の工場から輸出される製品価格が下がっているのです。そしてこの3つの要因はFRBの利上げ効果とは関係のない所なのです。

その関係のない所で雇用が好調で且つディスインフレが進んでいることに加え、更に利上げにより景況感は徐々に悪化し価格に低下圧力が加わります。それが今の順調なディスインフレに繋がっていると考えています。いずれにせよディスインフレが順調ならば、将来の利下げは確実に訪れる訳で、だから株に押し目が訪れていないと考えています。一方ドル円は今週大きな動きがありました。

植田日銀総裁がゼロ金利解除について『チャレンジング』と表現したことがきっかけでドル円が急落したのです。細かい値動きはどうでもよいのですが1日で5円以上もドル円が動いた事実に憤りを感じています。そもそもYCC修正時に植田日銀総裁は『不必要な金利あるいは為替レートのボラティリティの上昇を招いてしまうリスク』に言及し、それを防ぐことに注力すると述べています。

しかし今回の『チャレンジング』の発言は明らかに不用意な発言で、為替市場に無駄なボラティリティを与えてしまいました。しかもそもそも実質賃金は10月2.3%減少しています。CPIもピークを示しています。一体今利上げする意味は何処にあるのかは、私には理解できません。ただ米国が利上げを終え利下げに向かう中、焦って利上げしようとしているようにしか見えません。

今週もお疲れさまでした。今週は風邪が大分良くなってきたので、通いのスナックに久しぶりに歌いに行きました。来週はアキバのセッションバーで遊ぶ予定です。年末忘年会シーズンですがあまり予定を詰めずのんびり過ごしたいですね。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。