2023年7月5週振り返り(日銀政策決定会合)


おはようございます!週間ではダウ平均が231.60ドル高(+0.66%)、S&P500も1.01%高とともに3週続伸し、ナスダック総合は2.02%高と反発しました。

今週はイベントが多い週でした。まずFOMCは25bpsの利上げ、FF金利を5.25%としました。また今後の利上げはデータ次第と言う、パウエル議長は謂わば当たり前の文言に終始しました。サプライズなしです。次にECB、此方も25bpsの利上げ、政策金利を4.25%としています。ラガルド総裁の発言もFRBと同じく、今後の利上げはデータ次第と言うスタンスに変化しています。タカ派だったECBが剥がれてきたと言う印象です。

その背景はドイツ製造業PMIが38.8と予想41.0前回40.6を大幅に下回り欧州の景況感が急速に悪化していることに起因しています。此処までは簡単な解釈になります。難しかったのが日銀政策決定会合でした。日銀はYCCの柔軟化として±0.50%だった10年物国債利回りの許容幅を拡大したのです。もう少しはっきり言うとYCCの範囲を±0.5%から±1.0%へ拡大しました。

それはYCCの範囲拡大なので10年物国債利回りが上限近くにあれば、実質的には緩和解消を意味しています。効果としては利上げと同じ効果です。マーケットも始めは株売り円買いで反応しています。しかし時間が経つとともに株買い円売りに変化していきました。本来実質利上げがサプライズで行われた場合、大きくネガティブに株も為替も動くはずです。しかしそうは動かなかったのです。

その理由は将来の不確実性の減少によるものだと考えています。いずれYCCが解除方向に向かうのがシナリオで、その時期が不透明だったことは確かです。それが今回の措置で暫くはYCCと言う政策が続くことをアナウンスした訳で、日銀が10年物国債利回りをコントロールする事が明確化されたのです。そもそも今回のリミットの10年物国債利回り1.0%には長期金利はイールドカーブの形状から達しないと思います。

私は0.7%程度がせいぜいだと考えています。逆説的に言えば10年物国債利回りが1.0%に達するようなインフレ率になるまでは上限に達しないでしょう。また1.0%を超えるような事が突発的に起こったとしたら、ストッパーとして1.0%が日銀によって保障されているのです。つまり日銀は実質利上げをしつつも緩和継続をアナウンスしたという事になります。またこれ以上の政策の変化は暫くないでしょう。

つまり今後YCC解除は勿論、マイナス金利解除が暫くないと言う事がマーケットに安心感を与えたと言う訳です。だからマーケットが株高円安に動いたと私は解釈しています。オーストラリアのRBAがYCCをマーケットの上昇圧力によって外されたのと違い、日銀は上手く立ち回っていると言えるでしょう。また今週は重要指標も発表されています。4-6月期四半期雇用コスト指数は前期比1.0%と予想1.1%前回1.2%を下回りました。

6月PCEデフレーターも前年同月比3.0%と予想3.0%と一致も前回3.8%を下回っています。更にPCEコアデフレーターも前年同月比4.1%と予想4.2%前回4.6%を下回りました。総じてディスインフレは進んでいる印象で、マーケットも好感して株価は上昇しています。今年の始めは弱気で株式のエクスポージャーは20%でした。3月末から徐々に増やして6月15日には50%で強気としています。上手く立ち回れたとほっとしています。

今週もお疲れさまでした。セカンドハウス件事務所は家具をすべて買っているのですが肝心な仕事で使うテレビ台が壊れて届きました。つまりこの文章はダンボールの上で書いているのです。結構辛いですがもう少しの辛抱です。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。