おはようございます!週間ではダウ平均が0.75%高と4週続伸した一方、S&P500が0.83%安、ナスダック総合が2.08%安とともに2週続落しました。
S&P500が史上最高値を更新した次の日の7月17日、私は相場見通しを強気から弱気に変えています。特にナスダック100、つまり大型ハイテク株にかなり弱気で、3割持っていたナスダック100をポートフォリオからすべて外しました。想定通りその後大型ハイテク株は崩れ大きく値を下げています。何が起こっているかは先週説明した通り、キャリートレードの巻き戻しに起因しています。
円で借金して、ドルを買いマグニフィセント7を買えば、今年大きな利益を得られました。そのポジションは膨らんでいてそれが一気に巻き戻されたのです。そのきっかけは本質的な問いになります、利下げは本当に買いかどうかという事です。通常相場はFF金利が十分に低い水準になった時から低金利が続くことにより金融相場が起こります。その後FF金利を上げ景気にブレーキを掛けながら業績相場が訪れます。
金利が十分抑制的になって暫く経つと景気が腰折れしリセッションが起こります。リセッションが起こるとFF金利を下げ、下げきったところでまた金融相場が始まるのです。つまり通常FF金利を下げるという行為はリセッション時であり、株価は下がるのが定石です。今回はインフレ亢進というイレギュラーな状況から読みにくいですが、私はいつも通りリセッションが訪れると考えています。
つまり利下げは株の売りシグナルなのです。更に今回は2021年インフレ亢進を一時的とし、引き締めを遅らせたことによりFF金利水準自体が5.25%と高いです。もし2021年秋から利下げを開始していたらFF金利のピークは4%以下だったと思います。其れならば1.5%下げるだけで中立金利に辿り着きます。25bpsの利下げでも6回、つまり1年以内で達成されるのです。しかし5.25%から25bpsずつ、2%下げるだけでも1年掛かります。
それでも中立金利に辿り着きません。今の適正なFF金利水準は3.50%程度と考えています。インフレが収まり、景気が急速に腰折れしているからです。つまり今の適正なFF金利水準に辿り着くまで1年掛かるという事です。そしてその間は過剰に抑制的なFF金利水準が続きます。それは急速に景気を悪化させるでしょう。それをマーケットが見ているからこそ、株価は軟調なのです。
昔話をします。私がモルガンスタンレーにいた頃、当時のグリーンスパン議長は過剰にゆっくりと金利を引き上げていきました。其れにより金融環境が緩み、コモディティバブルが起こり、更にサブプライムローン問題が燻りました。サブプライムローン問題とは信用力のない貸し手に対しての不動産ローンであり。不動産が値上がりし利益を得る事を目的に信用力のない借り手が借り、儲けるために金融機関が貸していたことを指します。
引き締めが遅れたことにより、金融機関が過剰にリスクを取りサブプライムローンをまとめた証券化商品を抱え、不動産バブルがはじけ価格が下落し、リーマン・ブラザーズが破綻しました。それはもっと早く利上げを行っていれば起こり得なかったのです。しっかりと金融環境を引き締めていればサブプライムローンショック、更にリーマンショックは起りませんでした。
何が言いたいかというと、利上げや利下げのペースを間違えると致命的になるのです。リーマンショックは過度に緩和的な環境により生まれました。そして同様にコロナショック後のインフレを一時的とし過度に緩和的な環境を作ったパウエル議長はそのツケが今回ってきているのです。私がFRB議長なら残り今年4回50bpsずつ利下げします。そしてリセッションを防ぐでしょう。
しかしパウエル議長は多分そうしません。9月から3回25bpsが基本シナリオです。となると利下げのペースが前述の通り遅いのです。そうなればリセッションが訪れます。ソフトランディングシナリオはすでに崩れているのです。だからマーケットも崩れ始めた訳です。ただいずれにせよ結論はまだ出ていません。今後は雇用統計やISMの景況感を表す統計が悪化しているかどうかを確認していきたいです。
今週もお疲れさまでした。今週は先週からショートしていたナスダック100を買い戻し利益を得る事が出来ました。なかなか良いトレードだったと思います。たまにトレードするのも楽しいですね。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。