2024年6月4週振り返り(ポピュリズムへの回帰と東側諸国の躍進)


おはようございます! 週間ではダウ平均が561.17ドル高(+1.45%)と反発し、S&P500は0.61%高と3週続伸、前週まで2週続伸したナスダック総合は0.48ポイント高(+0.00%)とほぼ横ばいで終了しました。

今週はマーケットは特に目立ったイベントもなく小動き、その代わり政治が動いた週でした。まず欧州、仏で政治的混乱が起きています。今月の欧州議会選挙でマリーヌ・ルペン氏率いるフランスの極右政党・国民連合(RN)が勢力を伸ばし、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が下院解散と総選挙の実施を発表し、選挙は6月30日に第1回投票、7月7日に決選投票が行われることになりました。

RNが議会の主導権を握るシナリオが危惧されています。RNを巡ってはEUに敵対的なこれまでの姿勢に加え、財政支出を拡大する方針が市場を不安に陥れています。そもそも極右政党は、反EUであり、財政に規律を儲けるEUに対して自由な財政政策を主張しているのです。ただ本質的な極右政党の躍進は反移民であったり、低成長の経済であったり根が深い問題です。言い換えればポピュリズムへの回帰とも言っていいでしょう。

つまりバイデン大統領誕生によって一時押えられていたポピュリズムの息が吹き返してきたという事です。実際米国ではポピュリズムの象徴の意味合いが強い、トランプ氏の再選の可能性は限りなく高まってきています。グローバリズムを推進しようとしたバイデン大統領は、ウクライナ戦争やイスラエル問題を招き、その存在感は大きく後退しています。世界は常に揺れていますが、またポピュリズムの方向へ向かい始めています。

一方東側諸国に目を向けると、ロシアと北朝鮮が大きくその距離を縮めています。ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領が北朝鮮訪問をしたのです。そしてプーチン氏と北朝鮮の独裁者である金正恩氏は今週、新たな合意に署名し、両国のうち一方が他国からの「攻撃」に直面した場合、相互に支援することになりました。つまり東側諸国の結束が強まってきているという事です。これは冷戦後の秩序が終わったとも言い換えられます。

東側は躍進し西側を脅かす存在と再びなってきているのです。実際、中国、ロシア、イラン、北朝鮮、キューバ、ベネズエラなどの国は、米国と西側諸国の防衛態勢を脅かす大混乱を生じさせることに共通の利益を持っています。これらの国々が国際的な影響力を強めてきているのです。相対的には米国の弱体化という表現で説明できます。ただし米国だけが世界の警察を担える状況ではなくなってきたのも現実です。

西側諸国の「集団安全保障」は、北大西洋条約機構(NATO)、米英豪3カ国による安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」、米日印豪4カ国によるインド太平洋地域での協力枠組み「クアッド」などを通じて実現しなければなりません。また米国はグローバルサウスの国々を味方につけるため、経済力や開放的な貿易、ソフトパワーを活用しなければならないのです。

それは特に、中国が一帯一路を通じてこれらの国に提供している資金や債務のわなへの対抗策になり得ます。いずれにせよ世界は変化への加速を辿り始めました。我々はその変化をしっかりと認識し、理解する必要があります。本文で述べた西側ではポピュリズムへの回帰、国際情勢では東側諸国の躍進、これがどの様な方向へ世界を向かわせるかしっかりと注目していきたいです。

今週もお疲れさまでした。ライブがやっと終わりました。1年かけて準備したので終わった時は本当に充実感でいっぱいでした。懲りずにまたやりたいと思っています。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。