2024年2月2週振り返り(中立金利)


おはようございます!週間ではダウ平均が0.04%高、S&P500が1.37%高、ナスダック総合が2.31%高となり、主要3指数がそろって5週続伸しました。

今週は重要指標もなく静かな1週間でした。株価は好調でS&P500は節目の5000ポイントを上回り引けています。FF金利が5.25%と言う高水準にもかかわらず、雇用を始め経済指標は好調、インフレは逓減していくと言う理想的な展開を示しています。FRBはいずれ利下げするでしょう、しかしその余地は想定よりも少ない可能性を私は考えています。つまり中立金利の水準が上昇している可能性です。

中立金利とは、景気を加速させることも抑制させることもないFF金利の水準を言い、一般的に2.50%程度とされています。それは概念的な数値で算出できず、事後的に分かるものです。一般的に金利を高水準に保つと景気は抑制されます。そして今は前述の通りFF金利は5.25%と高水準です。その割に雇用は非常に強く、一般的な常識から乖離していることが分かります。

その要因は主に3点あると考えています。まず脱グローバリゼーションの影響です。2000年代前半はグローバリゼーションそのものでした。関税が低くなり、ヒト、モノ、カネ、が自由に国をまたいで行き来する時代だったのです。しかし今その流れが逆行しています。その象徴が戦争です。ロシアはウクライナを侵攻し、イランの代行組織ハマスはイスラエルに突然戦闘を開始しました。更に台湾は不安定さを増しています。

行き過ぎたグローバリゼーションの後退は今正に起こっているのです。それが輸送コストなどに影響しインフレ率を高めています。次に米国での労働者組合の影響力の上昇による労働コストの上昇です。記憶に新しいのが自動車組合の賃上げ交渉、その他にもアマゾンやスターバックスでも労働組合の影響力が増しています。元々米国では雇用が流動化しており、解雇規制も一般的に緩いです。

しかし昨今の賃上げ交渉の流れを見ると労働者の影響力が増していることが分かります。それが雇用コストの上昇に繋がりインフレ率の高止まりに影響しています。最後に緩慢とも言える財政政策や迅速な金融政策により景気に対して上昇圧力が高くなっている可能性があります。まず米国では環境政策の元、EV推進に対しての補助金や半導体支援に対しての補助金を奨励しています。

それは間接的にインフレを助長します。更にリーマンショックの反省から、何か危機が起こった場合にFRBは迅速に対応するようになりました。最近ではコロナショックが良く分かる例で、無限QEや地方政府に直接融資に近い形で資金を供給しました。それは景気を下支えすると言う意味では非常に有用でしたが、それを長く続けてしまう事により今回のインフレ助長に繋がったのです。

この、脱グローバリゼーション、労働コストの上昇、財政金融による支援、が中立金利を引き上げている可能性が高いと私は考えています。確かに今後半年以内にFRBは利下げするでしょう。しかしFRBは我々が期待している以上に慎重に行動するべきです。何故なら中立金利が高くなっているなら、過度な利下げはまたインフレを再燃させてしまうからです。それは我々の望むシナリオではありません。

今週もお疲れさまでした。今週は比較的のんびり過ごせました。趣味の絵を描いたり、それを部屋に飾ったり。また料理も楽しいですね。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。