2023年12月3週振り返り(再・早期利下げ)


おはようございます!週間ではダウ平均が2.92%高、S&P500が2.49%高、ナスダック総合が2.85%高とそろって7週続伸しとなりました。

注目のFOMCはFF金利を5.25%で据え置きました。また来年のドットプロットを現行の水準から75bps下の4.50%とし25bpsの利下げを3回示しています。更にパウエル議長は『今日の会合で利下げのタイミングを協議した』と近く利下げがあると示唆しました。個人的には早期利上げの示唆は想定内でしたが、マーケットコンセンサスはもう少しタカ派寄りだった為、金利が急落しドルが下落、株価が上昇しています。

特に将来のFF金利に敏感に反応する2年債利回りは4.3%台まで急低下、それに連れられ長期金利も4%を下回りました。私の先々週の振り返りのタイトルは早期利下げでした。今回のFOMCによりそれは現実的なものとなったのです。先々週の振り返りで早期利下げが行われる理由は、インフレ低下により実質金利が上昇し利上げ効果が増幅するという事でした。正にFRBはそれを恐れているようでした。

実際、FRBは足元の10-12月期について、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアの物価上昇率の見通しを前年同期比3.2%と、9月時点の3.7%から引き下げています。また、来年末のコアインフレの見通しは9月時点の2.6%から2.4%に引き下げました。思った以上にディスインフレが進んでいるのです。つまりインフレが下がれば下がるほど、FF金利水準が高いままだと、実質金利が上昇し、更にインフレが下がるのです。

FRBのデュアルマンデートは雇用の最大化とインフレの安定です。パウエル議長は『FOMCは現状維持が長すぎる場合のリスクを認識』と発言しています。つまり引き締め過ぎによる雇用の悪化を避けたいのです。それは今までのインフレの鈍化だけをターゲットにしていた政策の転換とも言えるでしょう。雇用とインフレどちらもターゲットにしてソフトランディングを目指す政策に転換したのです。

では何故今回私は利下げが買いだと言い切れるのでしょうか。一般的に利下げはマーケットが崩れる要因となります。何故なら金融緩和による金融相場から利上げと共に株価が上昇する業績相場に移り利上げがストップした後はほとんど景気後退が訪れるからです。これ以上利上げする必要、つまり景気にブレーキを掛ける必要がなくなった後は景気後退が訪れます。そして利下げが行われるのです。

しかし今回は金融相場の後、インフレ亢進が進みFRBが急速に利上げを行いました。つまり業績相場が訪れなかったのです。つまり通常は金融相場→業績相場→リセッションの流れですが、今回は金融相場→FRBの急速な利上げによる下落相場→金融相場の流れになるのです。それは2019年の予防的利下げのケースに近いでしょう。2019年夏にFRBは景気後退が訪れる前に25bpsの利下げを3回行っています。

その当時米中貿易摩擦によりマーケットは不安定で8月には逆イールドになるほど景気は悪化し始めていました。しかし先述の3回の利下げにより株価は上昇トレンドになり、翌2020年2月のコロナショックまで上昇相場が続いたいのです。私は今回もそれに近い状況になると考えていて、だからこそ利下げは買いだと判断しているのです。そしてその利下げがいよいよ近づいて来ました。だから株価は下がらないのです。

運用面で一つだけ懸念材料があるとするとドル安によるドル円の下落ですが、ある程度は株価の上昇が打ち消してくれると考えています。またヘッジ部分の先進国債券と金は為替ヘッジをしており、ポートフォリオ全体に対してドル安に対してもある程度ヘッジしてくれると期待しています。先進国債券と金を為替ヘッジありにした理由は、金利低下によるドル安に対して逆の動きをしてくれるからです。

今週もお疲れさまでした。今週は風邪がまだ残っておりゆっくり過ごしています。2週間以上と意外と長引きました。皆様も年末風邪が流行っているみたいなのでお気を付けください。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。