2023年12月1週振り返り(早期利下げ)


おはようございます!週間ではダウ平均が2.42%高、S&P500が0.77%高、ナスダック総合が0.38%高と主要3指数がそろって5週続伸となりました。

10月PCEデフレーターは前年同月比3.0%と予想3.0%と一致も前回3.4%を下回りました。コアも前年同月比3.5%と予想3.5%と一致も前回3.7%を下回っています。ディスインフレは順調に進んでいると言って問題ないでしょう。また欧州のHICPも2.4%と予想2.7%前回2.9%を大幅に下回っています。欧州はこの勢いでインフレ鈍化が進むとデフレと言うところまで行きそうで、それを防ぐには早期の利下げが必要だと考えています。

米国も同様でインフレ鈍化が進めば進むほど、FF金利の5.25%と言う水準は相対的に実質金利を高くします。そうなると急速に景況感が悪化する可能性が高くなるのです。FRBのデュアルマンデートは雇用の最大化とインフレの安定です。優先順位は今まで確かに高すぎるインフレ率でしたが、ここまでインフレ率が下がってくると雇用の最大化も考慮しなければなりません。つまり景況感の急速な悪化は防ぐべきなのです。

そうなると来年5月が利下げのコンセンサスですが、もっと早い3月利下げも可能性はあると考えています。実際今週ウォラーFRB理事は『インフレ率がさらに数か月間低下し続ければ、政策金利を引き下げる根拠は十分にある』とFRB高官の中では初めて利下げに言及しています。そんな中金曜日、注目のパウエル議長発言でしたが『金融緩和の時期を推測するのは時期尚早』とまだ利下げの時期を考えるべき時ではないと述べました。

また『適切であれば追加引き締めの用意がある』と追加利上げに含みを持たせましたが『政策金利は景気抑制的な領域に深く入った』と現状のFF金利水準が十分景気にブレーキを掛ける水準まで十分に来ていると言及しています。結局今後のアクションはデータ次第という事でしょう。其れならば何のデータが重要かですが、まずは勿論CPIです。インフレ指標が確実に鈍化していけば利下げは近くなります。

具体的にコアが2%台に入れば利下げの可能性は高くなるでしょう。次に雇用統計、失業率が4.2%を越えてくれば利下げせざるを得ないと考えます。つまり今見るべきはインフレ率と雇用で、先ほどのFRBのデュアルマンデートに戻るのです。ただ個人的には思った以上に利下げは早く来る可能性が高いと考えています。具体的には来年3月です。それはやはりインフレ率とFF金利水準の関係に寄ります。

昨年6月ごろCPIは9%を付けていました。その時のFF金利は1%程度でした。これは1%でお金を1億円借りてトマトケチャップをそのお金で買って1年寝かせるだけで9%値上がりが狙えたという事です。つまり何もしないのに8%お金が増えるという事です。それがインフレの本質です。緩和的な環境と言えるでしょう。しかし今はCPIが3%でFF金利が5.25%です。お金を借りてトマトケチャップを買って1年寝かしたら損するのです。

例えば此れがCPIが2%でFF金利が5.25%のままだとしたら更に損をします。其れが金融引き締めの本質なのです。因みに何故トマトケチャップを例えに使うかと言うと、ベン・バーナンキ元FRB議長が日銀に対して何でもよいから買えば金融緩和になると言及した時の例えでトマトケチャップを使ったからです。いずれにせよFF金利水準とインフレ率の関係は重要で、FF金利水準‐インフレ率=実質金利と強引に言える関係です。

つまり実質金利が高くなればなるほどお金を借りてトマトケチャップを買う(投資する)モチベーションが下がり、景況感が悪化します。FF金利水準が5.25%で固定なら、インフレ率は徐々に下がっていきます。そうなると余計実質金利が高くなっていき、景況感が加速度的に悪化するという状況になるのです。其れは勿論FRBも理解しています。だから私は早期利下げの可能性が高いと考えているのです。

今週もお疲れさまでした。今週は日曜日から風邪をひいてしまいずっと寝込んでいました。ノドが痛いです。皆さんも体調には気を付けてくださいね。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。