2023年8月3週振り返り(懸念を越えて)


おはようございます!週間ではダウ平均が2.21%安、S&P500が2.11%安、ナスダック総合が2.59%安とそろって2%超下落。S&P500が2月以来の3週続落となり、ナスダック総合は昨年12月以来の3週続落となりました。

やはり中国懸念が台頭しました。まず週明けカントリー・ガーデンがオフショア債の利払い不可能に続きオンショア債の取引が停止、更に金曜朝エバーグランデがNYで連邦破産法15条の適用を申請。不動産開発業者の懸念が高まってきています。更にシャドーバンキング大手の中植企業集団が債務再編を計画という報道もなされています。そもそもシャドーバンキングとは銀行以外の信用供与の事を言い、規模が大きく不透明です。

流れとしては、シャドーバンキングが不動産等に高い利子で過剰に融資してきたのが焦げ付いて、投資家に対して返済余力がなくなってしまったという事です。つまり信用収縮にあたります。因みに中植企業集団の資産規模は20兆円あり、一旦資産売却に動くと多大な影響があります。此処まで少し難しい話ですが、要するに上がっていた不動産等の資産価格が上がらなくなり、若しくは下がり、信用構造が逆回転しているという事です。

本質的な問題はデレバレッジ、つまり企業や個人が負債の返済に動き、モノを買わなくなったことに寄ります。そして中国政府は唯一の解決方法の大規模財政政策は行いません。そうなると企業や個人の景況感に対する自信は更に低減され、生産や消費行動が控えられます。其れが結果としてデフレとなります。つまり中国は日本の失われた10年をなぞる道を辿る可能性が高くなってきたのです。

そうなると更に元安が問題になってきます。人民元は対ドルで節目の7.3を超えてきそうです。それは更なるデフレを意図しています。いずれにせよ今、中国懸念は目立っていますが、それはかなり長い問題になるかもしれません。一方米国景気は好調です。但し懸念材料もあります、それは金利です。10年物国債利回りは昨年10月以来の高水準4.3%台にタッチしてきています。

要因は色々あるでしょう。需給もそうですし、景況感、FRBのタカ派姿勢継続もそうでしょう。しかし結果としてリスクフリーレートの10年物国債利回りが上昇し続けるのは株式に少なくともフェイバーではありません。実際にナスダックは2ヵ月ぶり、ダウは1か月ぶりの安値まで値を下げています。この水準まで金利が上昇してくると流石に注視しなければならないと思います。

少しお勉強です。名目金利(10年物国債利回り)=実質金利(インフレ連動債10年物国債利回り)+ブレイクイーブンインフレ率(期待インフレ)、です。今名目金利は4.3%、実質金利は1.9%なので期待インフレは2.4%です。期待インフレは昨年6月は3.5%程度まで上昇していました。それに比べれば低下していることが分かります。つまり投資家の期待するインフレ率はFRBの施策により低減していることが分かります。

問題は実質金利で、上昇傾向です。これは企業や家計を苦しめる要因になります。またドル高にも影響します。実際脆弱な新興国通貨は問題を孕み始めました。アルゼンチンは通貨防衛のための資金が底をつく中、政府はペソの公式為替レートを18%切り下げ、1ドル=350ペソ前後とし、同時に主要金利を21ポイント引き上げて118%にするという大胆な政策転換を行いました。

ロシア・ルーブルも昨年3月以来初めて、心理的に重要な水準である1ドル=100ルーブルを割り込んでいます。勿論先述の人民元もそうです。これ自体は各新興国固有の問題でもありますが、米国の実質金利が上昇していてドル高になっていることにも起因しています。世界は繋がっているのです。但し先週も述べた通りこれらの懸念材料は上昇相場を否定する内容ではないと私は考えています。

今週もお疲れさまでした。楽しい楽しい独り暮らし、遊び過ぎたので少し控えようと思っています。なかなか自制は効きませんが頑張ってみます笑。バンドのリハも2か月後に迫ってきたので少し練習しないととか、絵を最近描いていないとか、色々足りないところもありますがのんびりやっていきます。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。