1月CPIは7.5%と予想7.3%前回7.0%を上回りました。木曜日のマーケットはその数値にどう反応してよいのか分からず混乱したのです。特にユーロドルは乱高下、1.1375ドルまで下落した後、1.1495ドルまで急速に買い戻し、そして引けにかけて再び1.1408ドルまで売られました。意味が分からない。長期金利が上昇し続ける中、株も上下に振れ為替は乱高下、それがマーケットの反応でした。
つまりマーケットの相関性が崩れたのが木曜日のマーケットです。それは余りよい兆候ではありません。本来長期金利の上昇により株式は素直に下がり、為替はドル高になるべきでした。それがそうならないという事は、それだけ事態が深刻だという事です。私はこういう事が起きてその後株式マーケットが上昇していく事を見たことがありません。つまりこれから株価は下落すると考えています。
他に気になる事はフラットニングです。10年国債利回りは2.043%、2年国債利回りは1.609%、その差分は0.434%しかありません。通常フラットニングは景気後退を織り込む時期、つまり金利を引き上げ切った後に起こります。そしてFRBの利下げによって解消されるものです。しかし、まだ利上げさえ行われていない時期の過度なフラットニングは警戒が必要です。逆イールドが起こる可能性があるのです。
そもそも私は昨年10月5日にインフレ高進に危機感を覚え相場見通しを弱気に変更しました。そしてFRBがすぐにでもタカ派転換すると考えていました。しかし、思った以上にFRBはハト派を粘ったのです。実際にタカ派転換したのは12月でした。その間何が起こったかと言うと、無駄な株価の上昇でした。エヌビディアはその間だけで1.5倍になったのです。私は頭を抱えました。
資産バブルの兆候さえ見え始めた、そう危機感を感じているときにやっとFRBのタカ派転換、私は遅きに失したと感じました。もう昨年12月の時点でCPIは6.8%まで上昇しているのです。インフレは加速します、そしてその通りになり1月のCPIは7.5%になりました。FRBは歴史に残る大失策を犯したのです。そしてFRBは市場の信認を失いました。少なくとも私は信任していません。
後手に回ったFRBは3月に50bpsの利上げをする可能性が高まっています。しかし、問題はそのような軽い問題ではありません。7.5%のインフレ率を2.0%まで下げるのに今年1年で合計1.0%の利上げで間に合うはずがないのです。中立金利が2.5%としても3.0%までFF金利を上げる必要があるでしょう。そしてそれを出来るだけ早くしなければなりません。1年間に1.5%利上げしても2年かかります。
つまりインフレは暫く収まらない可能性が高いのです。それは今回のCPIの数値で確信を得ました。長い戦いになる、業績相場が訪れる可能性が限りなく低くなりました。我々ができる事、それはインフレヘッジだと思います。石油株を買ったり、実物不動産を保有したり、エクイティのエクスポージャーを下げつつインフレヘッジをしていく事だと思います。それ以上は何もできません。
追記:ウクライナ問題
金曜日の深夜、ロシアがウクライナ侵攻を決定とのヘッドラインが流れました。我々が持つべき意識は、ポスト冷戦が終わったという事実を受け入れる事です。平和のコストはタダではありません。ポスト冷戦、つまり、つかの間の平和の間、軍事費の削減が行われていました。しかしその間、ロシア中国は国力を高めていたのです。これはウクライナだけの問題ではありません。台湾に繋がるのです。
ロシアにウクライナ侵攻を許した時点で、西側諸国、特に米国は舐められてるのです。特にアフガン撤退に拘り失敗したバイデン大統領はロシアに危機管理能力を疑われています。また西側諸国が一枚岩でない事も見透かされています。だからロシアはウクライナに侵攻する訳です。次は台湾です。中国は西側諸国の対応が甘さを見せれば、ここぞとばかりに台湾侵攻を仕掛けます。
それは本当にマズい。太平洋のパワーバランスが崩れてしまいます。だから我々は台湾を守らなければなりません。我々は中国、ロシアが本当の敵国になった事を意識する必要があります。ラブアンドピースと言って何もしなければ、此方が攻め込まれます。先ずは日本も防衛力を高め、尖閣諸島を獲られないよう各国協調して対中包囲網を作るべきです。
今週もお疲れ様でした。オミクロン株、流行っていますね。殆ど私は外に出ていません。ようつべライブを家で毎日楽しんでいるくらいです。特に原稿を書く習慣は毎日の知識の積み重ねになり有用と感じています。来週も宜しくお願いします。良い週末をお過ごしください。