2022年12月3週振り返り(FRBへの信認低下)


おはようございます!週間ではダウ平均が1.66%安、S&P500が2.08%安、ナスダック総合が2.72%安とそろって2週続落しました。

注目のFOMCは50bpsの利上げでFF金利を4.25%としました。過去4回連続の75bpsの利上げから利上げ幅を減速しています。23年末ドットチャートは5.1%と前回の4.6%を上回る水準、ターミナルレートは23年末ドットチャートと一致とし来年の利下げを否定しました。しかしマーケットはFRBを信任していません。FOMC後もCMEfedwatchではターミナルレートは4.75%程度、来年後半の利下げも織り込んでいます。

何故マーケットはFRBを信任しないのかは、直近のFRBの態度が変化し続けているからと言えます。50bpsの利上げとマーケットのコンセンサス取っていたのに75bpsの利上げを行ったり、毎回ドットチャートを引き上げたりと、見通しが変わり続けているのです。それは状況次第と言えば聞こえが良いですが、マーケットは毎回それに振り回されるわけで、繰り返されるとFRBの信認が低下してしまうのです。

CPIなどのデータから読み取れることは、確実なインフレ低下です。特に製造業の景況感の悪化のスピードは顕著でそれがインフレ低下を招いています。FF金利は2.0%~3.0%の間と推測される中立金利を確実に上回る水準まで達していて、今後は確実にインフレが収まる事を示しています。最も印象的なデータはコアCPIの前月比で、0.2%と年率換算すれば2‐3%程度のインフレ率にまで下がってきていることが分かります。

つまり前回までのFF金利3.75%という水準でさえインフレを急激に冷やす効果が証明されたのにも関わらず、今回で4.25%まで上げ、更に5.00%までターミナルレートを示したのは現実にそぐわない印象を受けるのです。データ次第、パウエル議長は繰り返しその言葉を発しています。しかし果たして政策判断が本当にデータ次第なのかと言う事をマーケットは疑っているのです。

良く無い兆候です。本来FRBはマーケットと対話をし、コンセンサスを醸造していくものです。しかしFRBの言う事をマーケットが信じられ無くなれば、FRBはマーケットにコンセンサスを醸造できなくなります。今正にそれが起こっているのです。ではどうすべきだったか、ですがもう少し現実に基づいた発言をするべきでした。ドットチャートを下げるべきだったとは言いませんが、ドットチャートは下がる可能性がある等、留意するべきなのです。

来年の利下げについても頑なに否定するわけでなく、今の所は利下げは考えていないがその可能性は否定しないなどと柔軟な発言をするべきでした。マーケットはFOMC当日はフラフラしていましたが、翌日大きく値を下げる事となりました。それは決してファンダメンタルの何が変わったというわけではなく、マーケットがFRBを信任できなくなったことの査証だと考えています。

個人的な予想ではCPIは来月も顕著に下がり結果FRBは2月のFOMCで25bpsの利上げを行うと考えています。その後もCPIは下がり続け3月は若しかしたら利上げの打ち止めを示唆するかもしれません。そうなったら果たして12月にパウエル議長が言っていた事は何だったんだという事になってしまいます。ですから繰り返しますが、オプショナル、つまり選択肢をFRBは用意するべきだったのです。

データ次第では分かりません、インフレ率の低下が顕著だった場合利上げを停止する等の発言が必要でした。今私のパウエル議長の評価は非常に低いです。昨年にピボットが遅れた時と同じ印象を受けます。だからマーケットが下がったのです。株価がどうのと言うよりはFRBとマーケットの距離が離れてしまったという事が問題なのです。

今週もお疲れさまでした。今週末は山形にサロンメンバーを訪ね旅行します。サロン内でのレスポンスは若干遅れる可能性がありますがご了承ください。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。