おはようございます!週間では、ダウ平均が953.42ドル安(-2.77%)、S&P500が3.37%安、ナスダック総合が3.99%安とそろって3週ぶりの反落となりました。
先週発表されたISM製造業景況指数は49.0と好不調の節目の50.0を割り込みました。一方今週発表されたISM非製造業景況指数は56.5と堅調をキープしています。内訳も製造業の価格指数43.0に対して非製造業の価格指数70.0、製造業の雇用指数48.4に対して非製造業の雇用指数51.5と対照的です。雇用統計も失業率3.7%と変わらず、非農業部門雇用者数26.3万人と予想を上回っています。特にブルーカラーの雇用が堅調です。
これらが示す事実は、労働集約的な非製造業は雇用が足りず未だ価格上昇圧力が強いと言う事でしょう。原因はコロナ禍によって米経済が未曾有の事態に陥り、サービス業が製造業よりも格段に大きな打撃を受けた為、まだ挽回の余地があるからです。米国では、サービス生産がGDPの約60%を、モノ生産は約32%(残りはビルや橋などの構造物生産)を占めています。
ただ過去を振り返ると、景気の拡大・縮小を左右するのはモノ生産です。サービス生産の変動はずっと小さく、縮小に陥ることはごくまれなのです。サービス生産が全く落ち込まなかった景気後退期は何度もあり、一例として2001年3月や1990年7月に始まった後退期が挙げられます。つまり製造業の悪化だけで米国は景気後退に陥る可能性が高く、それはインフレ率の低下を示しているのです。
では市場回りはどのように景気を判断しているでしょうか。まず2年国債利回りの4.305%に対して10年国債利回りは3.556%と深い逆イールドで景気後退を織り込んでいます。そして10年国債利回り、つまりリスクフリー金利の低下にも関わらずナスダックは軟調です。またWTI先物は70ドルと年初来安値まで下落しています。つまり原油はインフレに対しては親和的な水準と言えるでしょう。
ただ結局はFRBの舵取り次第と言えます。つまり利上げのペースとターミナルレートの水準です。個人的にはターミナルレート4.5%以上は過剰な利上げと見ていますが、CMEfedwatchでは2月50bpsの利上げでターミナルレート4.75%がコンセンサスとなっています。私はインフレ率が来年2月には大幅に低下していると考えているので、2月の利上げ幅は25bpsと見ていますが、結局はインフレ指標次第と言えるでしょう。
グローバルで見れば、今週カナダ中銀は政策金利4.25%で利上げ停止の可能性を示唆しました。またオーストラリア中銀は25bpsの利上げで3.10%とし、ブラジル中銀は13.75%で利上げ停止しています。つまり少なくとも利上げの停止が見え始めたのは確かです。一方FRBは他中銀よりもタカ派と言えるでしょう。それは先述の通り米国経済が比較的まだ堅調だと言う理由からだと思います。
このような事から導かれる答えは、先週の振り返りで示した通りソフトランディングの可能性はまだ十分あるという事です。勿論それはFRBの舵取り次第ですが、パウエル議長も利上げし過ぎのリスクについては十分考慮しているはずです。だから私は楽観的なのです。そして目先では来週のCPIでデータを確認し、FOMCでパウエル議長がどの様な発言をするか注目しています。
今週もお疲れさまでした。今週は久しぶりにフグを食べました。やはり冬のフグは美味しいですね。ひれ酒を沢山飲んで若干酔い過ぎました。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。