2022年11月4週振り返り(新しい相場)


おはようございます!週間ではダウ平均が1.78%高、S&P500が1.53%高となり、ナスダック総合も0.72%高とやや小幅な上昇にとどまったものの、3指数がそろって反発しました。

米国11月総合PMIは46.3と予想48.0前回48.2を下回りました。一方ドイツ製造業PMIは46.7と予想45.0前回45.1を上回っています。このことから欧州と米国の景況感の差異が無くなってきている印象です。先に悪化していた欧州の景況感に米国が追いついたという事でしょう。つまり一方的なユーロ安ドル高は終わったと言えます。そしてドル安は株高を支援します。ただドル安による円ベースでの米株のパフォーマンスの劣化は致し方がありませんが懸念事項になります。

ところでFRBは今ターミナルレートを重要視しています。多分4.75%~5.00%辺りに決着するでしょう。それは私が1年前に予想したレートの上限(4.00%~5.00%)でもあります。6‐8月のサマーラリー時は市場のコンセンサスのターミナルレートが3%台でした。それは余りにも緩和的で楽観的と言えました。今はターミナルレートを十分織り込んみ、更にインフレ率が低下傾向と言う状況でのラリー、そこに差異があります。

株が上昇している本質的な理由は、FRBの4回にわたる75bpsの異例の利上げによりインフレ率がピークを打ち低下傾向になったからです。中立金利は2.25%ではなさそうですが、3.00%よりは下という事が推測されます。その理由はFF金利が3.00%を越した後から、景況感を示す経済統計が急速に悪化しているからです。要するに、FRBは昨年ピボットが遅れましたが、それを何とか取り戻したという状況と言えるでしょう。

今後のリスクはFRBの利上げのオーバシュートですが、『当局者は急速な利上げによるリスク増大を認識』とFRB自体もそれを意識しています。『当局者は利上げのペースの減速が近く適切になると認識』とも示すように今後は利上げのペースはより慎重になる可能性が高いです。勿論『複数の当局者は以前の予想より高いターミナルレートを予想』とターミナルレートの上方修正は示唆していますがそれも織り込み済みでしょう。

またEPSの低下も起こる可能性は高いですが、それも事前にかなり織り込まれてると考えています。セクター等で考えると、やはりナスダックは居心地が悪いです。GAFAMは成長鈍化、グロース株は金利に弱いからです。そして金利は恒常的に高くなる可能性が高い訳です。一方シクリカル・バリューがアウトパフォームしそうですが、そもそもMSCIコクサイはS&P500よりもGAFAMの影響を受けにくく、更に欧州株が入る事によりバリューの恩恵も受けます。つまり今の所はMSCIコクサイで十分です。

ところで、そもそも何故昨年FRBのピボットが遅れたか、それは2020年ジャクソンホールでの期間平均インフレ率の採用にあります。2020年1月インフレは緩やかでかつ、最大雇用を実現していました。そこで起こったことはマイノリティの雇用の拡大でした。ヒスパニック系、黒人、障碍者、前科者の雇用が拡大したのです。FRBはその淡い思い出を引きずって期間平均インフレ率を採用しました。雇用を優先した訳です。最大雇用が実現した後に起こるマイノリティの雇用拡大を夢見てピボットが遅れたのです。

私はその当時それに苛立っていました。昨年10月に私が相場見通しを弱気に変えた頃にFRBがピボットしていれば、今のような深いリセッションは訪れなかったでしょう。12月まで粘ってしまった、それが致命的でした。しかし過去を責めても致し方がないですし、その後の利上げのペースは合格点だったと思います。いずれにせよ、インフレ高進と言うテーマは終わった可能性が高いです。そして新しい相場が始まろうとしています。

今週もお疲れさまでした。今週は43歳の誕生日を迎えました。実感としては歳を取ったなと言うところでしょうか。サロンを始めたのが39歳、だいぶ大人(笑)になった気がします。此れも皆様のおかげだと考えています。来週もよろしくお願いします。良い週末をお過ごしください。