2021年12月4週振り返り(グロース株が売られる理由)


おはようございます!週間ではダウ平均が1.65%高、ナスダック総合が3.19%高、S&P500が2.28%高と揃って反発しました。

株価はEPS×PERで説明されます。EPSとは一株当たり利益でPERとはその何倍で株価が説明されているか測る尺度です。此処でよくある間違いが、PERを過去と比べる事です。過去PERが20倍で今15倍だから安いという表現は間違っているという事です。これは利益が出ていない企業を評価するPSRでも同じです。高いPERを説明するには高いEPS成長率が必要なのです。

その成長率が剥げると、高いPERは説明できません。具体的に言います。アドビはSaaS企業としてサブスクリプションモデルを採用し、その高い成長率を説明してきました。しかし、今回ガイダンスが悪く株価は下落しています。つまり、EPSの期待成長率を下回ったわけです。繰り返します。PER、PSRは過去と比べるものではありません。

また高成長企業、つまりグロース株の成長は低減していきます。過去PERが100倍だった銘柄が今もPER100倍で説明される事はないのです。ゆっくりとその利益成長率の低減によりPERは低くなっていくものです。だからこそグロース株のバリエーションは難しいのです。更にグロース株は金利感応度が非常に高いです。それは配当割引モデルで説明されます。

配当割引モデルでは将来受け取る配当の現在価値の合計が株価となります。より将来受け取る配当の割合が高いグロース株は当然、金利上昇に弱い訳です。そして今金利は明らかに上昇局面です。その場合グロース株のバリエーション、つまりPERは低くなります。これが直近のグロース株が弱い理由の本質なのです。EPS成長率の鈍化に加え、金利感応度が高いという事がグロース株の下落の理由です。

繰り返します。高いPERを説明するには高いEPS成長が必要なのです。その成長性が剝げ落ちると、株価は急落します。また市中金利が上昇すればグロース株に不利になります。つまり何が言いたいかと言うと、今グロース株に大きな逆風が吹いているのです。ただし、過去のアマゾンのようにずっと持っていればグロース株は成長性が高いので高いパフォーマンスを発揮するという意見もあります。

これは確かにそうです。しかし株には生存者バイアスが掛かっています。つまり、アマゾンが生き残った影に沢山のグロース株が上場廃止になっているという事実を忘れてはいけません。つまり今流行りのグロース株を持っているのが一番パフォーマンスが良いというのは幻です。沢山の潰れた銘柄の中からアマゾンを選ぶのは無理があるのです。私はグロース株がダメとは言っていません。

グロース株を買うのは昨年のように金利が極端に低い時期だという事を言っています。そして繰り返します、今は金利上昇局面です。つまりグロース株を買う時期ではないと言っている訳です。更に言えば、株のエクスポージャーも下げる時期です。それはインフレ高進によりFRBが早期利上げをせざる負えないからです。金融相場の終わりは株式はギクシャクします。それが今であると言えるでしょう。

今週もお疲れ様でした。母親に手作りのライオンの指輪をプレゼントして貰いました。その指輪に似合う時計をサロン継続3周年のご褒美に買いました。たまには良いモノを買うのも良いですね。来週も宜しくお願いします。良い週末をお過ごしください。