2021年10月2週振り返り(スタグフレーション)


おはようございます!週間ではダウ平均が1.22%高、S&P500が0.79%高、ナスダック総合も0.09%高とそろって反発しました。

注目の雇用統計、非農業部門雇用者数は19.4万人と予想50.0万人前回36.6万人を下回るネガティブサプライズ。失業率は4.8%と予想5.1%前回5.2%を下回りましたが、働く事を諦めた人が母数から外れた事が主な要因と考えられます。つまり非常に非常に悪い数値でした。マーケットの反応は、株式市場は楽観的であまり反応しませんでしたが長期金利が上昇。

米国10年国債利回りは4ヵ月ぶり高水準の1.615%まで達しています。通常指標が悪ければ長期金利は低下するはずです。しかし長期金利は上昇していてその要因は、期待インフレ率の上昇です。長期金利は2つの要素に分解されます。一つは実質金利、もう一つは期待インフレ率です。そのうちの期待インフレ率が上昇した事が長期金利の上昇を後押ししました。

これはFRBにとって非常にマズいという事を示します。マーケットがインフレを急激に織り込んでいるからです。FRBは雇用の最大化という命題の元、最大限の金融緩和をしてきました。しかし思ったよりも雇用が回復しない事実を突きつけられたのです。雇用の最大化の為に出来るだけ緩和は引き延ばしたいというのが本音でしょう。しかしもう一つの命題、インフレの安定が揺らいできました。

つまり雇用の回復を待ってテーパリングを開始すればインフレになってしまうという事です。これはFRBにとって不都合な真実です。今回の雇用統計を受けても11月は分かりませんが、12月のテーパリング開始は確実視されています。それ程インフレ圧力は強まってきています。そうなると雇用が回復する前に金融緩和縮小という事になってしまうのです。それはスタグフレーションに繋がります。

スタグフレーションとはインフレを伴う景気後退です。それは1970年代のオイルショック以来、我々が体験していない現象です。そして今回のインフレの原因はサプライチェーンの目詰まりです。それは人材不足、素材やエネルギーの高騰、中国の電力不足に分解されます。特に中国の電力不足はすぐに解決できる問題ではなく、インフレの長期化の可能性が高くなって来ています。

そこで私は相場見通しを変更したのです。細かな変更はしてきましたが、昨年3月24日以来初めてアウトルックを変更しました。具体的に10月3日に強気から中立、10月5日に中立から弱気です。金融相場の後は一般的に業績相場が訪れます。しかし今回はスタグフレーションが起こる可能性が高いと考えたのです。となると株価下落リスクが高いので株式のエクスポージャーを下げました。

具体的には、株式比率を30%、持ちうる下限まで引き下げたのです。基本弱気でも30%以下にはしません。当たり前ですが見通しが外れる事もあるからです。そして日本債券比率を40%、今回は債券も下がる可能性があるために少な目、ただし株式の急落局面があればヘッジ効果はあるので最低限は持ちます。そして商品を10%、これはインフレヘッジの為に持ちます。

現金は20%と多めです。それはもし見通しが間違った場合、すぐに対応できる資金をキープしておくためです。いずれにせよ、今はリスクリワード的に弱気にしたほうが良いと考えています。それは、上を取る為に株式比率を上げるよりも、下でダメージを受けるリスクの方が高いと考えているという事です。そして今回もしスタグフレーションが起こった場合、下落相場は長引く可能性があります。

つまり、コロナショックは1ヵ月で株価は収まりました。しかし今回は長いインフレとの戦い、つまりインフレが収まるまでの利上げ、そしてじわじわとした株価下落、このようなシナリオを描いています。個人的にはそのような事は起こって欲しくなく、相場見通しが外れても良いと考えています。それ程事態は深刻です。最後に見るべき指標は株価ではありません。

まず長期金利、そして原油価格です。期待インフレ率の上昇による長期金利の上昇は株式にプレッシャーを与えます。特にグロース株に対して。そして原油価格が上昇すれば、マーケットがインフレを肯定していることとなり、スタグフレーションの確度が上がります。覚えておいてください、長期金利と原油価格です。此方がマズい方向に向かえば一気に株価が急落することもあり得ます。

今週もお疲れ様でした。今週は相場見通しを久しぶりに変更して疲れました。頭フル回転でした。通いのスナックが営業再開しましたが、まだカラオケ禁止なので歌えません。25日以降歌えるようになりそうなので楽しみにしています。来週も宜しくお願いします。良い週末をお過ごしください。